お役立ち情報
腎臓病(第10章)

腎臓病患者が安心利用できる社会保障・福祉制度とは?

腎臓病 (10章-1) 腎臓病を詳しく知るときに役立つWebサイト

インターネット上には患者会や製薬企業、
医療機関や医学会などのホームページで腎臓病に関する数多くの情報を収集できます。
多くの情報の中でも、ここでは腎臓病を知るのに役立つWebサイトを紹介します。

患者に対して無料相談も行う全国腎臓病協議会

 腎臓病の治療は長期にわたるため、患者や家族はさまざまな不安や悩みを抱えていることでしょう。不安や悩みを解消するには、必要な情報を収集することが欠かせません。腎臓病の病気や治療法、日常生活の送り方などについて正確な情報を入手し、治療や療養に前向きに取り組めるようにすることが大切です。

Webサイトを確認しよう

 一般社団法人 全国腎臓病協議会
 http://www.zjk.or.jp/
 通称は「全腎協」。透析患者を中心とする腎臓病患者の組織です。会員数は約9万人に上り、患者会の中でも最大規模といわれています。ホームページには腎臓病やその治療に関する基本的な知識を網羅していますが、患者や家族からの「無料相談」も受け付けており、電話やメール、FAXなどで医療ソーシャルワーカー(MSW)や管理栄養士、場合にはよっては会員の患者自身が質問に答えてくれます。

 NPO法人 日本移植者協議会
 http://www.jtr.ne.jp/
 臓器の提供を受けた人の体と暮らしを支援する全国組織です。臓器移植の普及啓発活動や、移植者および移植希望者向けの情報誌「JTRニュース」の発行などを行っています。

 一般社団法人 日本腎臓学会
 https://www.jsn.or.jp/
 日本の腎臓病専門医のほとんどが入会しています。患者向けの情報も充実しており、都道府県別の腎臓専門医リストは勤務先の医療機関名・診療科やその住所・電話番号も記載されていますので受診の際には役立ちます。「腎臓を守るために」「まんがで知る 多発性嚢胞(のうほう)腎」「腎不全 治療選択とその実際(2016年版)」などの患者向け冊子をPDFで入手することもできます。

 一般社団法人 日本透析医学会
 http://www.jsdt.or.jp/
 「図説 わが国の慢性透析療法の現況」には透析療法のさまざまなデータが納められています。当サイトでも日本腎臓学会のWebサイトで配布する「腎不全 治療選択とその実際(2016年版)」を入手できます。

 一般社団法人 日本移植学会
 http://www.asas.or.jp/jst/
 PDFで入手できる「臓器移植ファクトブック」を見ると、腎臓だけでなく日本の臓器移植全体の現状が明らかになってきます。もちろん腎移植に関する情報も豊富です。

 日本臓器移植ネットワーク
 http://www.jotnw.or.jp/
 わが国で移植臓器提供の橋渡しを行う唯一の組織です。腎臓だけでなく心臓や肝臓などの臓器移植に関するさまざまなデータを閲覧できます。

 腎臓病ネット
 https://jinzou.net/
 腎臓病診療に関する最先端で偏りのない情報提供を目的に、腎臓内科専門医が日本の腎臓病診療の先頭に立つ医師や医療従事者の協力を得て運営しているサイトです。一般向けには「透析食レシピ」「CKD栄養指導」などが参考になります。

腎臓病 (10章-2) 腎臓病になったら活用したい社会保障・福祉制度

腎臓病の患者は生涯にわたって治療を続けざるをえない場合がほとんどです。
そこで、透析患者や条件を満たした慢性腎不全患者には、
経済的に安心して治療を受けられるよう
数多くの医療費助成制度や社会保障制度が整備されています。

特定疾病療養受領証交付で透析患者は月1~2万円の負担

 慢性腎臓病(CKD)の場合、進行とともに薬が増えていくため医療費の自己負担が増加します。ただし、透析療法については公的制度を利用することで自己負担を大幅に抑えることができます。しかし裏を返せば、1人につき年間400万~500万円もかかる透析医療費を税金や保険料でほとんど賄っているということを意味します。国の医療費を抑えていく観点からも、透析療法に入る前の治療をしっかり行っていくことが大切です。

特定疾病療養受領証

 高額な治療を長年継続しなければならない場合、高額療養費支給の特例によって負担を軽減できます。透析療法が必要な慢性腎不全は「特定疾病」に指定されており、本人の申請によって「特定疾病療養受療証」の交付を受けると、毎月の自己負担限度額は月1万円まで、70歳未満で一定以上の所得のある方は2万円までに軽減することができます。手続きの流れは以下の図の通りです。 特定疾病療養受療証を交付するまでの流れ

透析以外の腎不全患者にも適用される身体障害者手帳

 慢性腎不全を患い、身体障害者福祉法に定められた障害に該当する場合、申請すると障害の程度に応じて1級、3級、4級の身体障害者手帳が交付されます。透析療法を受けている場合は1級に該当し、透析を受けていない場合も、例えば「腎機能障害で家庭内の日常生活活動が著しく制限される」場合は3級(血清クレアチニン5mg/dl~8mg/dl未満)、「社会での日常生活活動が制限される」場合は4級(血清クレアチニン3mg/dl~5mg/dl未満)となります。
 手帳が交付されると、障害の種類・等級に応じて国や市区町村のさまざまな福祉サービスを利用できます。主なサービスは以下の通りですが、市区町村によっては独自のサービスを設けているケースもあります。

 ・税金の減免(所得税・相続税・住民税の控除、預貯金・国公債の非課税など)
 ・交通機関(鉄道、バス、飛行機など)の料金割り引き
 ・タクシー料金の割引
 ・有料道路通行料金の割り引き
 ・駐車禁止区域での駐車許可証の発行
 ・NHK放送受信料の減免
 ・携帯電話基本料金の割り引き

身体障害者手帳交付によって受けられる主なサービス

電車やバスなどの交通機関の乗車賃が割り引かれるほか、携帯電話や有料道路の料金割引、所得税や相続税などの減免などを受けられる。

 身体障害者手帳を申請する手続きの流れは以下の通りです。
 (1)「身体障害者診断書・意見書」の用紙を居住地の福祉事務所または各市区町村の福祉担当課でもらう
 (2)指定医に「診断書・意見書」を記入してもらう
 (3)「交付申請書」「診断書・意見書」と顔写真、印鑑を添えて窓口に提出
 (4)都道府県の判定を受けて交付

地方自治体による助成で透析医療費は実質無料化

 「身体障害者手帳」を取得すると 地方自治体が医療保険の自己負担分について独自に助成を受けられます。患者本人や世帯の所得にもよりますが、自立支援医療や重度障害者医療費助成制度を利用し、特定疾病療養受療証で減額された自己負担をさらに少なくすることが可能です。

重度心身障害者医療費助成制度

 地方自治体が独自に行う助成制度が重度心身障害者医療費助成制度です。透析療法を受けている患者は「特定疾病療養受領証」によって月の自負負担は1~2万円となりますが、多くの都道府県で自己負担分の払い戻しを行っています。つまり無料となるわけです。ただし、患者の年収などによって助成が適用されない場合があります。
 身体障害者手帳1級・2級および3級の一部の人や、後期高齢者医療制度の障害認定を受けている人が対象となりますが、制度の名称や条件、助成内容は各自治体で異なります。詳細は居住地の福祉担当課にお問い合わせください。

 多くの病院には社会復帰後の患者の生活を支援する部署を設置しています。医療ソーシャルワーカー(MSW)が患者の経済的、心理的、社会的な課題に対して相談にのってくれます。医療や社会保障の助成制度にも精通しているので、分からないことがあったら通院先のMSWをたずねてもよいでしょう。