高血圧のQ&A
高血圧(第11章)

高血圧の方が気になる疑問点のまとめ

高血圧 (11章-1) 高血圧のQ&A

高血圧の方にとって気になる疑問点とその答えを、
Q&A形式で30個紹介します。

Q. 高血圧の人の食事。どんなことに気を付けるべきですか?

 最も大切なポイントは減塩です。高血圧の場合、1日の塩分摂取量は6g未満に抑えることが望ましいと考えられています。また、野菜や果物、魚(魚油)を積極的に摂ること、肉類などに多いコレステロールや飽和脂肪酸の摂取量を控えることも推奨されます。高血圧患者向けにまとめられた食事療法のガイドやレシピなどを参考に、塩分や栄養バランスに気を配るようにしましょう。
 降圧剤を飲んでいても、食生活が乱れていると薬の効果が十分に発揮されない場合もあります。反対に、食事や運動によって血圧を良好にコントロールできれば、減薬したり、服薬を中止できる可能性もあります。
 ※薬は自己判断で減薬したり中止したりせず、かかりつけの医師の指示に従いましょう。

Q. ときどき頭痛がして心配です。高血圧と何か関係があるのでしょうか?

 疲労や気圧の変化などによって頭痛や頭重感を感じると、「急に血圧が上がったのでは?」と心配になる人もいるようです。実際、軽い頭痛やめまい、動悸などを感じるという人もいますが、基本的に初期の高血圧に自覚症状はほとんどありません。むしろ、特有の自覚症状がないからこそ高血圧は怖いといえます。
 高血圧が長く続くと、自分では気付かないうちに血管や臓器がダメージを受けて、さまざまな合併症や症状が起きるリスクが上昇します。健康なうちから健康診断などで自分の血圧の数値を把握しておき、高ければすぐに治療を始めることが大切です。

Q. 高血圧を下げるためには、どんな運動をすればよいのでしょうか?

 最も効果的なのは、ウォーキングや自転車こぎなどの有酸素運動と、負荷の軽い筋力トレーニングの組み合わせです。有酸素運動を中心に、1日30分以上×週3日以上行うことを目安にするとよいでしょう。肥満している人であれば、週5日以上の運動が理想的です。
 負荷の高い筋トレや、競泳や短距離走などの激しい運動、勝敗を競うスポーツは、心臓発作などにつながる可能性もあるため、高血圧の人にはすすめられません。事前にかかりつけ医に相談して、自分に合った運動強度や運動量に関するアドバイスを受けておくと安心です。運動の前後のウォーミングアップや体のケアも忘れないようにしてください。

Q. ときどきめまいがします。高血圧と診断されたことと関係があるのでしょうか?

 めまいの原因は複雑であり、血圧と関係があるかどうかを判断するには、医師による診察が必要です。
 ただし、目が回るほどのひどいめまいや、頭痛を伴う場合は、脳梗塞の前触れである可能性もあります。すぐにかかりつけ医に相談して、専門医を受診しましょう。運動中や入浴中にめまいなどを感じるような場合にも、中止して受診するようにしましょう。間違って降圧剤を飲み過ぎたり、薬が合わずに血圧が異常に低くなった場合にも、フラフラすることがあります。服薬についてもかかりつけ医にきちんと相談をしてください。

Q. 「高血圧の人は緑茶を飲むとよい」と聞きました。一体なぜでしょうか?

 緑茶にはカテキンやGABAといった特有の成分が含まれており、高血圧を予防したり、血圧の上昇を抑えたりする働きが期待できるものとみられています。他にも、緑茶には抗酸化作用を持つβ-カロテンやビタミンC、ビタミンEなどが含まれています。毎食後に緑茶を飲む習慣をつけておくと、これらの成分が健康維持に一役買ってくれるかもしれません。
 ただ、緑茶は薬ではなく一般的な食品(飲み物)ですから、「毎日たくさん飲めば血圧が下がる」というものではありません。無理をして大量に飲み続けるようなことは避けましょう。

Q. 「高血圧によい」と言われる食べ物がたくさんありますが、何を食べればよいのでしょうか?

 「なるべく高血圧によい食べ物をとりたい」という患者さんは多いと思います。
 しかし、食べ物は薬ではありませんから、一概に「どれを食べれば役に立つ」とは言えません。特定のものを大量に食べ続けるようなことをすれば、栄養のバランスが偏るなど、健康面にとってむしろマイナスになることも考えられます。
 まずは塩分の摂取量に気をつけながら、野菜や魚を中心に、さまざまな食材・食品をバランスよく取り入れることが望ましいでしょう。高血圧の人向けの献立やレシピのバリエーションは年々豊富になっています。楽しみながら、食事療法を上手に続けてください。

Q. 高血圧の人向けのレシピ作りを行う際のポイントを教えてください。

 ポイントは、「減塩・増カリウム」です。
 多くの場合、減塩は高血圧の食事療法に欠かせません。塩分の多い加工食品、味付けの濃い料理や調理法を減らせば、おのずと減塩に繋がります。食塩、しょう油、味噌、魚の干物、めん類などを減らす、調理法なら煮物をやめるだけでも、かなりの塩分をカットすることができます。
 カリウムは、体内の過剰な塩分(ナトリウム)の排出に役立つミネラルです。カリウム豊富な野菜の摂取量を増やし、大豆製品、牛乳などを積極的に摂ること、また、普段食べている干物を鮮魚に替えたり、脂身つきの肉をやめて赤味の肉を選ぶようにすることで、カリウムを効率よく摂ることができます。

Q. コーヒーを愛飲しています。高血圧を指摘されていますが、飲んでもかまわないでしょうか?

 カフェインによって交感神経が刺激されるため、コーヒーを飲んだ直後はやや血圧が上がることがわかっています。
 しかし、コーヒーの摂取量が多いほど、脳梗塞にかかる確率が少ないことや、コーヒーの成分に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の酸化を抑える働きがあることなども報告されています。結論から言うと、コーヒーの摂取による高血圧に対する害はなく、むしろ健康上よい影響が期待できるかもしれません。
 また、コーヒーには緑茶と同様、過剰な塩分(ナトリウム)の排出に役立つカリウムというミネラルが含まれています。水や清涼飲料水などに比べて、カリウムを効率よく摂ることができるという利点もあります。ただ、過剰な摂取には気を付けてください。
 ※持病があり、水分摂取量に制限のある人などは、かかりつけ医に相談しながら摂るようにしましょう。

Q. 「チョコレートは高血圧の予防に役立つ」と聞きましたが、本当でしょうか?

 平成26年に、愛知学院大学と大手お菓子メーカーによる研究チームが、次のような実験を行いました。45~69歳の男女347人に、カカオ分72%のチョコレートを1日25g食べてもらい、4週間後に血圧を測定したところ、高かった血圧が下がるという結果がみられたそうです。また、血圧が高めな人ほど、下げ幅が大きかったという報告もされています。
 そのほかにも、同じ研究によって高カカオのチョコレートの摂取が善玉のHDLコレステロールの上昇に繋がることなどが確かめられています。おやつなどにチョコレートを食べるときはカカオ分の多いものを選び、香りや食感を楽しみながら、少量をとるようにするとよいかもしれません。
 ※参考/明治製菓ホームページ「みんなの健康チョコライフ」チョコレートと健康効果に関するレポート

Q. 高血圧で、外食の塩分が気になります。メニュー選びのポイントを教えてください。

 丼物やめん類は一般的に塩分が多めです。干物、練り物、ハムなどの加工食品も塩分が多いため、これらがメインになっている献立にも注意が必要でしょう。ヘルシーな印象の和定食も、干物、煮物、漬け物、味噌汁と塩気の強い料理が揃えば、塩分過多になりがちです。
 最近では、メニューに塩分を表示しているお店も増えていますから、上手に活用するようにしましょう。そもそも、外食メニューや市販のお弁当・お惣菜などは、塩分のほか、カロリーや脂肪分も過多になりがちです。なるべく回数を減らして、自宅で薄味・野菜たっぷりの食事を摂ることを習慣づけるのがベストです。

Q. 高血圧の人向けの料理を作る際、食材の調理法などにコツはあるでしょうか?

 次のようなコツを抑えておくと、塩分やカロリーはぐっと控えられます。

 ①脂をたっぷり使う揚げ物や炒め物は避けて、茹でたり焼いたり蒸したりすることで作れる料理を選ぶ。
 ②出汁をしっかりひいて旨味をきかせ、塩の量を減らす。
 ③お酢やレモンなどの酸味、コショウやカレー粉、七味などのスパイスや香辛料を使って味にメリハリを持たせ、塩の量を減らす。
 ④少量のごまやナッツを振りかけたり、野菜類を大きめにカットすることで、噛みごたえ・食べごたえをアップする。

 減塩のためには、しょう油やソースなどの調味料を「減塩タイプ」に替えたり、塩分量の多い加工食品はあらかじめ下茹でするといった方法も有効です。

Q. 両親ともに高血圧です。私も遺伝によって血圧が高くなっているのでしょうか?

 両親がともに高血圧の場合、子どもに約50%の確率で高血圧になりやすい体質が受け継がれます。両親のどちらかが高血圧の場合は、約30%の確率で高血圧体質が遺伝するようです。
 高血圧になりやすい体質が遺伝すると、20~30代とやや若いうちから、血圧が高くなる傾向にあります。しかし、遺伝だけが高血圧の発症に関係するわけではありません。食生活や運動、ストレスといった生活習慣も大きく関わっています。遺伝的要素の有無を問わず、若いうちから生活習慣に気をつけて、高血圧予防を心がけることが大切でしょう。

Q. 高血圧の薬とグレープフルーツを一緒に摂ってはいけないのはなぜですか?

 グレープフルーツが含むフラボノイドという成分の中に、小腸で行われる薬の吸収や、肝臓で行われる薬の分解に関わる酵素の働きを、一部阻害するものがあります。そのため、「カルシウム拮抗薬」というタイプの薬とグレープフルーツを一緒にとると、血液中の薬の濃度が上がり、効きすぎてしまう場合があります。
 グレープフルーツの果汁を使ったジュースなどでも、同様のことが起こり得ますから、該当する薬を常用する際には、かかりつけ医や薬剤師の指示に従いましょう。「アムロジピン」というカルシウム拮抗薬の場合は、代謝の際に酵素があまり関わっていないため、大きな影響は出ないと考えられています。

Q. 仕事などによるストレスが強いと、高血圧になりやすいのでしょうか?

 暑さや寒さ、疲労や体の痛みといった身体的なストレスはもちろん、精神的なストレスによっても、血圧は高くなることがわかっています。ストレスを感じると体を活動状態にするホルモンが分泌され、心拍数が上昇したり、血管が収縮したりして血圧が上がりやすくなるためです。
 ストレスがまったくない生活を送るのは難しいでしょうし、ストレスもほどほどであれば気持ちの張り合いに繋がりますが、過度にため込んだり、慢性化させたりすることは血圧のためにもよくありません。好きなことを楽しむ習慣や、なるべく物事を前向きに考えるくせをつけて、心身に影響しないように心掛けましょう。

Q. たばこを吸うと、高血圧は悪化してしまうのでしょうか?

 喫煙が慢性的な高血圧の原因に直結するかどうかは、実証されていません。
 しかし、たばこは動脈硬化、がん、脳卒中、不整脈、慢性閉塞性肺気腫疾患(COPD)、歯周病をはじめとする、数多くの病気のリスクを高めることははっきりとわかっています。
 また、喫煙習慣に高血圧によるリスクが加わることで、狭心症や心筋梗塞などにかかる危険性がさらに高くなることも判明しています。つまり、吸えば吸うほど病気にかかる可能性が増しますから、高血圧の人が突然死や重病を防ぐためには、たばこと決別する必要があるでしょう。禁煙すれば、それぞれのリスクは比較的すみやかに下がります。

Q. 妊娠を考えています。妊娠中の高血圧がよくないと聞きましたが、胎児に影響がありますか?

 「妊娠高血圧症」と呼ばれる、妊娠中の女性がかかりやすいタイプの高血圧があります。妊娠高血圧症によって血流が悪くなると赤ちゃんに酸素や栄養が充分に届かず、発育によくない影響を及ぼす可能性があります。
 そのため、妊娠中は定期的に血圧を測る必要があり、不幸にしてかかってしまった場合は妊娠中でも飲める薬を選択するなど、血圧を適正に管理していく必要があります。なかでも、もともと血圧が高い人、初産の人、肥満の人、甲状腺や腎臓の病気、糖尿病などを患っている人、ストレスの多い仕事をしている人は妊娠高血圧症にかかるリスクが高いため、注意が必要です。

Q. 高血圧になってしまった場合、アルコールはやめたほうがいいのでしょうか?

 医学的なデータで見ると、飲酒量が多い人ほど高血圧の有病率も高いことがわかっています。
 しかし、お酒は適量なら血行を促進したり、ストレスの解消に役立つなどのメリットもありますから、必ずしも禁酒する必要はありません。お酒をたくさん飲む高血圧の患者さんの場合、飲酒量を少し減らすだけで、1~2週間で血圧が下がる傾向にあることがわかっています。お酒が好きでもがぶ飲みは控えて、適量を嗜むものと心得ておきましょう。
 高血圧の人の場合、1日のアルコールの適量は、男性ならビールは350ml、焼酎は0・5合、日本酒なら1合弱、ワインはグラス1杯程度。女性ならその半分~3分の2の量です。

Q. 水分の摂取量は、高血圧と関わりがあるのでしょうか?

 減塩に加えて、水分をこまめにとるようにすると、塩分(ナトリウム)が尿として排泄されやすくなり、血圧が下がりやすくなります。
 血液の水分が失われて濃度が上がると発作も起きやすくなりますから、水や白湯などを1日の中で数回に分けてこまめに飲み、適切な水分補給を心がけましょう。血液の濃度が特に上がりやすい夏場は注意してください。また、起床時、入浴の前後、就寝前にも、コップ1杯の水を飲むようにしましょう。
 なかでも高齢者は神経系統の老化によって喉の渇きを感じにくくなっている場合があります。夏の熱中症予防だけでなく、血圧と血管のためにも意識して水分を摂りましょう。

Q. たまねぎは高血圧によいと聞きました。どんな成分が含まれているのでしょうか?

 たまねぎは使いやすく安価で日持ちもよいうえに、人間の健康に役立つさまざまな成分を含む優秀な野菜です。
 たとえば、ツンとしたニオイの成分であるイソアリインという成分には、血液の凝固や動脈硬化を予防する働きがあります。また、ケルセチンというポリフェノールの一種にも、血液中の脂質の排出を促したり、血液の流れをよくするなどの働きがあります。香りや風味の強いタマネギを加えると、サラダなども薄味でおいしく食べることができ、減塩にも繋がるでしょう。辛味の成分や水溶性のビタミンなどは水に溶けだしてしまうので、栄養の流出を防ぐため、水にさらす時間は数分に留めましょう。

Q. 納豆は血液をサラサラにする成分が含まれているそうですが、高血圧の改善にも役立つでしょうか?

 納豆や豆腐など、丈夫な血管をつくる良質な植物性たんぱく質や必須アミノ酸を含む大豆製品は、毎日食卓に取り入れたい食品の一つです。
 特に、発酵食品である納豆は大豆の煮豆よりも消化・吸収がよく、腸内環境を整える働きがあります。また、高血圧の予防に役立つ「プロテアーゼ」という消化酵素や、血栓を溶かす「ナットウキナーゼ」という特有の酵素が含まれていますから、納豆は高血圧の人の植物性たんぱく質の補給に向いている食品だといえそうです。どこでも安く購入でき、調理せずに簡単に食べられるという点でも、食生活に取り入れやすい食品です。

Q. 高血圧の人が入浴する際に、注意をするべきポイントなどはありますか?

 入浴による急激な温度変化は危険です。
 気温の低い脱衣所から熱いお湯に飛び込むようなことは、血圧の急上昇を招きますから、絶対にやめましょう。実際に、冬のお風呂場で心臓発作を起こして倒れてしまう高齢者などは少なくありません。また、降圧剤を飲んだあとや飲酒後の入浴も血圧の乱高下を招く場合があるため、1時間以上は間を空けるようにしましょう。
 長湯をすることや、お湯から急に立ち上がることも避けてください。脱衣所が寒ければ温めておき、お湯の温度はややぬるめの38℃くらいにして、5~10分程度の半身浴×2~3回を行うのが、高血圧の人におすすめの入浴法です。入浴前後の水分補給も忘れないでください。

Q. 睡眠不足は高血圧の人にとってもよくないのでしょうか?

 睡眠不足や生活リズムの乱れが続くと、交感神経やホルモンの働きに影響を及ぼして、血圧が上がりやすくなります。
 忙しくても、なるべく意識して毎日7~8時間は睡眠をとり、日中は外の光を浴びることで体のリズムを整えましょう。毎朝カーテンを開けて陽の光に当たるだけでも、日中の眠気がスッキリしますし、夜も入眠しやすくなります。また多くの高血圧の人の場合、睡眠中は血圧がやや下がる傾向にあります。この間に、日中の高血圧で傷付いた血管などの組織の修復が行われますから、血管の老化現象である動脈硬化の予防の面でも、毎晩しっかりと眠って体を休めることはとても大切なのです。

Q. 高血圧の場合、サウナに入るのは避けたほうがいいのでしょうか?

 リフレッシュに人気のサウナですが、残念ながら高血圧の人には向いていません。
 水風呂も同様で、急な温度の変化によって血圧の乱高下を招くため、心臓に大きな負担をかけてしまいます。最悪の場合、脳や心臓の発作につながったり、失神しておぼれたりする可能性もありますから、サウナや水風呂は避けるようにしてください。
 バスタイムでスッキリしたいなら、38℃前後の半身浴がおすすめです。湯船用のイスなどをセットして足を伸ばすと5分程度でも充分にリラックスでき、副交感神経が刺激されて、血圧が下がります。温泉風の入浴剤、好きな香りのバスオイルなどを活用するのもリフレッシュにはよい方法です。

Q. 健康診断で、高血圧と肥満を指摘されました。ダイエットをして痩せたほうがよいのでしょうか?

 肥満とは体に余分な脂肪が蓄積した状態です。とくにお腹周りに脂肪がつくと、血圧が上昇することが明らかになっています。
 適正体重より太っていると糖尿病や脂質異常症のリスクも上がりますから、必要なら減量をして、適正体重を保つように心がけましょう。
 肥満、高血圧、高血糖、脂質異常は、それぞれが軽度でも、複数の疾患同士が影響を及ぼし合うことで、生活習慣病やがんを招きやすいことも明らかになっています。このような病態は「メタボリックシンドローム」と呼ばれています。高血圧で肥満の人の場合、体重をまず4㎏減らすだけでも、平均で上の血圧は4ミリ程度、下の血圧は3ミリ程度下がります。軽めの運動を継続する、食生活を見直すなど、無理のない減量をめざしましょう。

Q. 味噌汁が好物ですが、高血圧にはよくないと聞きました。塩分を減らす工夫などはあるでしょうか?

 一般的な味噌汁の塩分は、1杯で約1.5~2.0g。毎日何杯も飲めば、塩分摂取量の目標を軽くオーバーしてしまいます。
 味噌汁には減塩の味噌を使い、かつおやいりこのだしをしっかりと使いましょう。市販の顆粒だしには塩分が多いので、使用は控えたほうが賢明です。具には野菜、海草、キノコ、豆腐などをたっぷり入れ、具材を食べるようにして塩分量を減らしてください。特に、カリウムを含むジャガイモ、ネギ、豆腐、ワカメには余分な塩分(ナトリウム)の排出を促す効果があります。高血圧の人の場合、味噌汁は具だくさんにし、汁は少なめによそい、1日1杯程度に留めることがポイントです。

Q. 会社の健康診断で、高血圧と不整脈があると言われました。2つには関連があるのでしょうか?

 高血圧が続くと、自覚症状がなくても血管や心臓に負担がかかります。そのため、高血圧を治療せずに悪化させてしまうと、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全などの多くの病気を引き起こす原因になります。
 不整脈もそのうちの一つですが、体質や健康状態には個人差があるため、その人の不整脈が本当に高血圧に起因するものかどうかを知るには、詳しい診察を行う必要があります。不整脈には年齢や体質が関わっていたり、その他の心臓の病気などが関係している場合もあります。かかりつけ医を受診して、必要な診察や検査などを受け、高血圧と合わせて適切な治療を行うようにしてください。

Q. 本態性高血圧症と言われて、治療をしています。やはり原因は乱れた食生活でしょうか?

 日本の高血圧患者の約9割は、原因がはっきりしない「本態性高血圧」というタイプの高血圧です。
 血圧の調整には、脳や中枢神経、腎臓、心血管系、内分泌系など、体内の多くの部分が関わっています。さらには生活習慣、肥満、体質、遺伝なども発症に関わっているため、「どこにどの程度の異常や問題があって血圧が上がり始めたか」ということは特定できません。普段の食事が原因の人もいますし、そうでない場合もあるのです。
 しかし、適切な薬を飲むことや、健康的な生活習慣を守ることが、高血圧の予防・改善に通じることは次第に明らかになっています。高血圧につながる要因を一つひとつ取り除くことで治療していきましょう。

Q. 高血圧の数値は、何ミリから何ミリが「高い」とされるのでしょうか?

 医療機関で測定した際に、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg(ミリ)以上、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上だと、高血圧と診断されます。
 上140ミリ/下90ミリ以上にあたる高血圧は、さらに「Ⅰ度高血圧」「Ⅱ度高血圧」「Ⅲ度高血圧」と3段階に分類され、段階が上がるほど脳卒中や心筋梗塞などの合併症にかかるリスクも上昇します。高血圧と診断されたら、治療を継続しながら家庭血圧計で朝晩の数値を計測して定期的に記録をするなどして、血圧のコントロールに役立てましょう。
 ちなみに家庭血圧は、5~7日間の平均で、135/85mmHg以上が高血圧の基準値です。

Q. 年をとると血圧が上がりやすいようですが、予防する方法はあるのでしょうか?

 血圧は年齢とともに上昇する傾向にあり、日本では65歳以上の約60%が高血圧を抱えています。
 多くの場合、男性は30歳を過ぎたころから、女性は閉経後に血圧が上がりやすくなります。自分にはまだ関係ないと思わず、30~40代から定期的な健康チェックを怠らず、自分の血圧の状態をよく知っておきましょう。また、肥満や運動不足、働き過ぎ、飲酒や塩分過多の食習慣など、高血圧に繋がりやすい要因があれば改善して、早めの予防につとめましょう。両親が高血圧の人や、20代から血圧が高めの人は、若いときから血圧をまめにチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。

Q. 朝、ベッドから起き上がる際に、フラフラすることがあります。高血圧と関わりがあるのでしょうか?

 通常、血圧は昼間の活動中に高く、睡眠中はやや低くなります。
 明け方になると再び上昇していきますが、高血圧の人の中には起床の際に血圧が急上昇する「早朝高血圧」という症状がみられる場合があります。
 目が覚めた時にベッドや布団から急に飛び起きたり、気温の低い洗面所で冷たい水に触れたりすると、心臓に強い負担がかかる可能性もあり、十分な注意が必要です。目が覚めたら横になったままストレッチなどを行って血液循環をよくしてから、慎重にゆっくりと起き上がるようにしましょう。起床時のふらつきがひどい場合は、かかりつけ医によく相談をしてください。